魂の声に耳を澄ませる

明け方、4時半に目が覚めて、パソコンの電源にスイッチを入れる。9月に入ってから携帯電話を解約した息子から、いつ連絡が入ってもいいようにと無意識にそうしてしまっている。成田まで、見送りに行きたい気持ちは、山々だけれど、夕方には、教室の生徒さんたちもやってくるし、自分の都合で勝手に変更するわけにはいかないし別れを惜しむ気持ちにキリのないこともわかっている。先日、「ここでいいから」と新幹線の駐車場でいう息子に、ホームまでの入場券を購入して見送ったときでさえ、
「今生の別れというわけじゃないのだから・・・」といわれる。
「今度、逢えるのはいつ、どこかな?」
「お母さん、どこまでだったら、一人で来れるの?」
「パリまでだったら、なんとか行けると思う」
「じゃ、パリまで僕が迎えに行くから。」
そのときの、きっぱりとした声を思い出す。
いろんな思いが去来して自分でも気持ちが高ぶっているのを感じていた。そうしているうちに、7時20分頃、お弁当を作っていると、電話がなって、息子からだった。伊丹空港から、国内線で乗り換えてこれから、成田に向かうらしい。両方の祖父母に連絡して、それから、かけてきたらしく、「おばあちゃん家、つながらないから、よろしく伝えて・・・じゃ、行ってくるから。親父は?」それから、朝食中の父親と会話していた。
夫を送り出してから、どのくらい経っただろうか?また、電話がなって、Yさんからだった。『天上のシンフォニー』を読み終わった感想と、明日の「ひびきの森」さんでの布ナプキンの講習会&ディジュリドーのコンサートのお知らせだった。息子が、今朝、出発したこと、それから、この夏の感動的な出会いの話をしていた。「貴女だったら、場所はどこでも、関係ないはず。きっと、大丈夫よ」と、わけのわからない励まし方をされる。そのあとだった。また、電話がかかってくる。息子が、成田に着く時間にしては、早いしなぁと思っていたら「南無妙法連華経!」と、聞き覚えのある声。「メール、読みました」「ニューヨーク?じゃないのですか?」「天木さん、応援したいから、14日まで東京にいます」「まぁ!驚きました。それにしても・・・一体、なんて人なの」「バカだから(笑)・・・」
そういえば、若い頃、うぐいす嬢をしてたことがあったんだ。あの頃の情熱、が、蘇る。封印されていた情熱が蘇る。それは、恋愛の感情というような私的な思いからではなく、もっと、根源からの魂の叫びのようなもの、そこの部分でお互いに共鳴できるなんて、これ以上、浪漫ティックなことがあるだろうか?
 それから、きょうは、もう一つ、嬉しいお知らせが届く。大学を卒業して幾久しく、当時は、今みたいにフロッピーにデータをコピーするということもなく、いつのまにか、紙コピーしていた、渾身の思いで書いた卒論の控えも紛失してしまっていたのだが、先日、同窓会に出席したときに、司会をされていた専門分野は異なるけれど恩師の先生を通じて、問い合わせをしていただいていたところ、当時は講師だった、専門は同じだけれどゼミは違っていた先生が、まだ、在籍されていて、「貴女の卒論が見つかりました」というメールのお返事がきたのだった。長男が渡仏する前に見せたかったのだけれど、同じ日になってしまった。でも、嬉しい!!!