空飛ぶ教皇

 先々週に続いて、第2回目の「宗教と文化」のエクステンション講座。こないだは、ちょっと、時間に余裕なく到着したので、今回は、少し、余裕をもって家を出た。今回の「正教会ローマ・カトリック教会との間の対話の進展と障害〜ギリシャカトリック教会(帰一教会)の問題を中心に〜」という、講座の内容は、神聖ローマ帝国のあと、東と西に分かれて、それぞれの経過を辿った、キリスト教会の歴史の中で、東ローマの方に伝わった東方正教の視点を中心にした解釈の講義だった。前回が、概論的だったのに比べて、専門用語が多くて(個人的には興味深かったけれど)一般論的な宗教のお話としては前回の方が、わかりやすかった感がするのだが、受講生の皆さんは、どうだったろう?質問したのは、わたしだけだった。PCを使いながら詳しく語られるので、最後は用意されていたビデオも全部は紹介できない様子だった。個人的には、東方教会による全地公会の見解による「七つの公会議」の会議名&年代を知ることができたし、5つの総主教区の名前と序列もわかったし、神学の中心ともいうべき、三位一体論の中心命題、つまり、東と西の教会に分裂するきっかけとなったFilioque(フィリオクエ)問題にまで言及されたのは興味深かった。時間ぎれでレジュメの後半部分は、はしょられて急ぎ足に結論部分のテーマにとんだのは残念だったので、2回に分けてききたいくらいだった。講話には不慣れないわゆる研究者タイプというのか、クリスチャンの方なのだろうか。質問したのは、景教キリスト教ネストリウス派)の流れについてだが、異端のシリアの教会の流れだということだった。かつて19世紀、アメリカでのR・W・エマソンとA・ノートン教授の神学部論争のことなど質問するのは、はばかられたので触れなかった。異端の最たるものだろう!(笑)

 最後に、第2次世界大戦後、第2ヴァチカン公会議のあとローマ・カトリック教会側も他宗教との対話を求めて、エキュメニズム(教会再一運動)が起こり、十字軍で迫害した地への懺悔の巡礼に代表されるヴァチカン外交など、「空飛ぶ教皇」という異名をもたれていた故ヨハネ・パウロⅡ世の話をされたのだが、それが皮肉なことに東側の教会にとっては警戒感であり脅威となっていたらしいのだが、新しい、ベネディクト16世になってから、「モスクワ対ローマ」に雪解けムードが現れているということを話された。静かな教皇の方が世界平和というか、エキュメニカルだということになる(笑)