宗教学

lyra2005-11-02

 ヒューマン・スクール、第3回目の「宗教と文化」のテーマは、「宗教学を教える」ことから「宗教とは何か」を考えるというものだった。出かける前に、ポストの中にあった実家の母から手紙を読んで、あ、そうだ!と、思い出して、一旦、電源を省エネモードにしていたパソコンを立ち上げて、息子にメールしたのが元で、30分近くも遅刻してしまった。すでに、講義は、始まっていた。インドネシアの講師だとは、前回、伺っていた記憶があるけれど、こんなに流暢な日本語を話されるとは思わなかった。お母さんは、小豆島の出身の日本人ということだった。それにしても、もっと、早く来て最初から聞きたかった。日本の宗教事情について、驚くほどよく把握されている。日本人の大学の先生を凌ぐ感性を感じる。
 一神教が、言葉を用いて教義を著している以上、宗教上での争いは避けることができないのではないか・・・と言われたことは、まさに慧眼だという気がしている。今回、遅刻してしまったのは、家を出るのが遅かったというのもあったけれど、昨日の光透波の講座の内容を思い出しながら、究極の解答の「おっさん」から、「言葉・数・文字・名」を漢字、一字で表せという宿題をだされたことがあったのを思い出していた。その答えも一応は知ったけれど、腑に落ちたわけじゃない。大体、命題そのものに疑問を感じているのだから。だから、信じているという段階ではないけれど、日本の役割に関してもう少しで全体の何かがつながりそうなインスピレーションみたいなものが湧いてきて時間を気にせず瞑想状態の波動でゆっくりと運転していたということもあった。

ジュマリ・アラムさん
 ○慣習として身体で覚えている。それが宗教だ。日本の神輿もそうだが、供物を捧げているインドネシア、バリ島の人には、それが、宗教だという意識はない。ー今、地上に生きている神々と戯れているーそれこそが、立派な宗教性として、一神教とは違う表現なのだということを訴えるべきだ。
 ○戦後の反動として、宗教に対するマイナスイメージがある。それが問題。宗教が国教化して間違いを犯したというアメリカ一辺倒の流れから、もう一度、中間にもどるべきだ。
 ○一神教の教義は学校で教えるのには向いているが、民間信仰は多様、心で感じる、心で継承する世界。親から子へ肌で伝えるものだ。例として、バリでは学校でインドネシアの国教のヒンズー教を教えないといけないが、バリでバリヒンズー教になっているものを教えるのは無理。
 ○日本は、100パーセント政教分離したのだという言説に立ち向かうのがボクの役目。
 ○ジャワでは、宗教を語れない。袋叩きにされるだろう。日本は、宗教を否定するが何を言ってもOKの国。あまり、客観的だと物足りない。宗教は、少し芸術的で客観では語れない。
 また、他にもレジュメやインターネットを使っての図式化した説明など、宗教の本質に迫る内容で、終わってからの質疑応答も、これまでで、最も活発なものだった。だから、質問しそびれていたら、時間に余裕のある方は、終了後もどうぞという進行役の方の御案内だったので、順番を待って、お話させていただく。遅刻したことのお詫びを述べて、いろんなことを伺う。日本で生まれて8歳まで東京で育ち、大学までインドネシアのスラベシ島。そのあと日本に留学されたとのことだった。小豆島は、子供達が小学生だった頃、夏休みを利用して訪れたことがあったので「小豆島、いいところですよね」というと「観光でしか知らないけれど」と、その言い方が、どんなお世辞も社交辞令も通用しない素朴なお人柄を表しているようだった。お母さんは、仏教徒だったのか?それとも神道だったのか・・・そして、お父さんは・・・
 講義の中で、自分の信仰している宗教は何かと聞かれても、わずか、数文字で表せるものではなく、説明するとしたら一年はかかるだろうと言われていたにもかかわらず、御両親の宗教を一般的な範疇の宗教的な名前で理解しようとする自分がおかしかった。日本の神道についても本気でフィールドワークされてるんだなと思った。いやはや、参った。こちらが質問魔なのと同じくらいの興味の示し方に、言葉が出なくなってしまった。「あとはメールで連絡します」とバッグの中に丁度入っていた名刺を渡した。その様子を、2人の講師の方々が見守っておられて、そのお一人は、プロット神父様だった。もう御記憶ではないだろうと思いつつ御挨拶したら「旧姓は何でしたか?お顔は覚えています。ちっとも変わってないです。すぐにわかりました。ちょっとだけ・・・・」と、両手をふんわりとされた意味はすぐに了解できた(笑)プロット神父様は、ドイツ語を教えてはおられたけれど、別に講義を受けたわけではなく、サビエルセンターでのお茶や仮名書道を習いに行っていたので、ときどきすれ違うくらいだった。退官された今はどうされているのだろうと思ったら「何もすることがないので草むしりしてますよ(笑)」とのこと。そのあと、ふざけて「拙者も質問がござる」とジュマリさんに話しかけられ、3人の講師陣と事務受付の女の人達は移動していかれた。学生時代に戻ったような楽しい午後だった。